2021年 09月 27日
9月27日(月):「認知症の先輩」が務める相談室 |
昨日のブログで超高齢社会に関することは一区切りにする旨を記したばかりでしたが、それを翻意して少しばかり。
というのも昨夜、偶然目にしたNHKスペシャルの内容が非常に意義あるものだと思ったためです。
同番組での昨夜の主題は「認知症の先輩が教えてくれたこと」というものでした。
ドキュメンタリーとしてカメラが追いかけていたのは香川県の病院が設けている認知症の相談室です。
ただ、この相談室はただの相談室ではなく、「認知症の方が認知症の方の悩みを聞く相談室」であることが特筆すべき点です。
相談員は先に認知症となった言わば「認知症の先輩」が務めます。
相談員の方も認知症の当事者であるため、直近で医師から認知症の告知を受けた方の不安や戸惑いといった気持ちへの共感、理解はもちろんのこと、そこで発する経験談は生の声として示唆に富んでいました。
また相談室には認知症の方だけでなく、それを支えるご家族もその場に参加をしていて、既に何年も認知症の方を支えてきたご家族の話には、新たに認知症となった方を支える家族の方にとって、耳を傾けるべき内容が多く、気持ちの面でも大きな助けになっている様が見て取れました。
このドキュメンタリーでもっとも印象的だったのは認知症の妻を支える夫が最初は対応に苦慮して、気持ちの面でも頑なだったのに、この相談室での話も含めて日々、パートナーや自分と向き合い続けるなかで、1年という時間の経過後に、まるで違った柔らかな面持ちになっていたことです。
認知症を告知され、先の相談室へ来る方の多くは、最初は緊張した表情で言葉も少ない様子でしたが、時間を経て認知症というものの受け止め方や周囲の人との関わり方が分かっていくなかで、明るさを取り戻していました。
当事者とそれを支える家族、双方がともに最善の在り方が分かっていくことで、互いの言葉や表情が見違えるようになっていくのが伝わってきて、改めて認知症に対して「知って、考えること」が大事なんだと思いましたね。
認知症になった先でも家族や周囲との良い関係性を保ったり、個人としての尊厳や豊かさを保っていく方法も、いろいろなことへの理解があれば、それを模索していける道も出てくるのでしょう。
超高齢社会とは、誰もが認知症の当事者やそれを支える家族になるかもしれない社会でもあるので、そうしたなかでどう生きていくのかを探るためにも、まずは個人として理解を深めることが必要だし、先の相談室のようなサポートの場が広がっていけば良いなと思った次第です。
by biz-365
| 2021-09-27 18:10
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