2019年 11月 07日
11月7日(木):逆6次産業化 |
先月の日経産業新聞には「北海道 6次産業『逆参入』」と題した記事がありました。
同記事で取り上げていたのは飲食店や宿泊施設といったエンドユーザーと接点を持つ企業が食品生産に参入する「逆6次産業化」の取り組みが北海道で増えている旨を報じたものです。
まず6次産業化について補足をしておくと、こちらは農林漁業などの生産者(1次産業者)が生産だけをするのではなく、その先の加工(2次産業)や流通・販売(3次産業)も行うことを指します。
かつては各産業の足し算としての6次産業との捉え方でしたが、今ではこれが掛け算としての概念になっています。
例えば酪農などで食肉生産をしている事業者が、肉の加工をはじめとしてエンドユーザーとの接点である焼き肉店などを手掛けるなどはこの類です。
また果物などの生産者が地域ブランドのオリジナル商品を企画して、その加工・販売などをするのもそうですね。
6次産業化するメリットとしては生産したものの供給先を自ら作ることができるし、それによって元々の生産物の良さをエンドユーザーに知ってもらうことにも寄与します。
その一方で生産者にとっては販売としてのマーケティング、店舗運営というのは畑違いの領域であってハードルが高いのも事実です。
こうした6次産業化に対して、今回の事例は「逆6次産業化」ですから、もともと流通や販売を事業領域にしていた3次産業者が、上流の生産工程を手掛けるようになっていく動きですね。
3次産業者が上流に遡ることの良さをあげるとすれば、既にマーケットにおいてエンドユーザーとの直接的な接点を持ち、顧客基盤があることでしょう。
生産を始める段階において、既に需要としての出口を持っているわけですからね。
その分だけ安心して生産にあたることができるし、逐一販売の状況などが分かるから、それをもとにした需要予測によって生産規模を適切にコントロールもできます。
さらには自社で使うための生産ということであれば、そこにこだわりを反映させるなど、提供するメニューや商品へ価値を付加することにもつながります。
もちろん生産そのものも素人が簡単にできるものではないし、安定した品質や意図した量を安定供給することにもハードルはあります。
それでもエンドユーザーとの接点や築き上げた関係性、既に安定した需要を持っていることは大きな強みになりますから、そこに取り組む意義は大きいと思います。
同時に現状では一次生産者が高齢化し、担い手が不足することで生産の場が細っていく面もあって、逆6次産業化によって生産の場を保護していく面もあるでしょう。
かつて2,000年代後半には大手飲食店チェーンが農作物の生産に乗り出した時期もありましたが、今はそれに比べるともう少し規模の小さい事業者でも、そこに取り組み始めた感じですね。
私たちの場合はフィットネスを基軸にしたサービス事業者であって、お客様との接点は有している状況です。
このような事例に当てはめて考えるとすれば、私たちができるのは上流に目を向けていくことですね。
先の合宿でも自分たちの提供したいサービス、提供価値を具現化するためのツールを企画できないか、といった話にも一部及びました。
今後、クラブ数などが増えていけばますますそうしたものを考える余地は広がっていくでしょうから、今まで以上に柔軟な見方、発想をしていければと思っています。
by biz-365
| 2019-11-07 18:18
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