2019年 05月 23日
5月23日(木):本質的な問題解決商品 |
先般の日経新聞には「究極のエコ『捨てない』を形に」と題した記事がありました。
こちらで取り上げられていたのは工場ブランド衣料品をネットで販売するライフスタイルアクセントの商品、取り組みについてです。
工場ブランドとはアパレルが製造を依頼している衣料品・雑貨工場が自らのブランドをつくり、価格も自ら決めてイニシアチブをとって製造、販売しているものを指します。
同記事でクローズアップされていた商品は前述した工場ブランド発の「汚れないパンツ」です。
衣料品の大量生産・大量廃棄に関する構造的な問題は、このブログでも度々取り上げてきた通りですね。
ファストファッションによる流行サイクルの短縮化が進んだいま、1人あたり年間175キロの繊維製品を捨てている計算で、それは今後も増えていく見通しだとしています。
このブログで取り上げたタグを付け変えての再販売や在庫を買い取ってのディスカウント販売などは、流通・販売側のロスを最小化する意味では寄与します。
ただ、残念ながらエンドユーザーの側における廃棄を削減していく取り組みにはなっていません。
むしろエンドユーザーからすれば安価に衣料品を手に入れられるチャネルでもあるから、購入量と廃棄量が増加に向かう可能性もあります。
そうした時に「そもそも、捨てない衣料品とは何か」から考えて発想したのが、先の商品だったと言います。
捨ててしまう要因を幾つかピックアップしたうちのひとつが汚れ、ということでした。
お気に入りの衣料品に取れないシミ、汚れなどができてしまうと、どうしても着る場面や回数が限られ、次第にクローゼットに埋もれていき、その先には廃棄へという流れですね。
そういった流れをソリューションしようと生まれたのが同商品で、素材に対して特殊加工をすることで撥水効果を半永久的に定着させ、汚れがつかないパンツを世に送り出してヒットになった、とのことです。
開発には3年を要したとのことですが、対処療法ではなく根本解決をしようとすれば、そこには長い時間が掛かるものの、それを形にしたのは見事というほかありません。
また、現在進行形で取り組んでいるプロジェクトも非常に興味深いものでした。
それはエンドユーザーに製造の一部を担ってもらうアプローチです。
衣料品を捨てる要因として前述した汚れはひとつですが、別な要素でいえばこのブログでも触れてきたように、まだ十分に着られるけれどもそれに対する情緒的価値が棄損することでの廃棄も大きな点です。
それに対して製造の一部を担ってもらうことで、衣料品そのものに対する愛着を持ってもらい、「大事にしよう」との情を育てる考えですね。
その製造の一部の担ってもらい方がユニークで、ネットを通じてオーガニックコットンの種を無料で提供し、利用者が栽培したコットンを買い取り、タオルやTシャツに使用する形です。
情緒的価値を簡単に棄損させないためには愛着を持ってもらうことが大事で、そのためには生産の一部に関与してもらうのは私も勝手ながらに考えたことがありましたが、その時にイメージをしていたのは自分でデザインをしたものを形にしてもらうとか、既存商品を自分好みにカスタマイズする、といった言わばデザイン面でのオーダーメイド要素でした。
今回のような素材の栽培を担ってもらうというのは考えもしなかったから、「なるほどな」と素直に感心した次第です。
断捨離のような整理術が人気を博すのは、それだけ廃棄されるだけのモノが過剰になっていることの表れに他なりません。
片付けてキレイにすることや、それによってライフスタイルを改めるのもひとつですが、今回のように、そもそも捨てられないものをつくる、という本質に切り込むところに、創り手としての矜持を感じるし、その本質思考は見習うべき点も多いと思います。
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by biz-365
| 2019-05-23 20:01
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