2017年 11月 16日
11月16日(木):アパレルのネット専用ブランド |
先般の日経MJにはアパレル大手が相次いでネット専用ブランドを立ち上げている状況を報じた記事がありました。
具体的には三陽商会やイトキンといった企業が手掛けているネット専用ブランドなどを同記事では取り上げています。
こうした動きが広がってくるのは周知の通り、現在のアパレル不況な背景が大きいですね。
百貨店を見てもアパレル関連の売上は低下し、新規開業する商業施設では脱アパレルの方向性なども鮮明になってきました。
そんな状況ですから、当のアパレルメーカーにとってもこの状況は深刻です。
またアパレル商品全体の消費が低迷するのと並行して、もうひとつの揺るぎない変化は購買チャネルの移行でしょう。
ネット経由での購買が増えてきたからブランド全体での一定の販売数があっても、各所に店を構えているリアル店舗では必然的に収益性が低下をしてきます。
こうした現在の様相からすれば、新しいブランドを立ち上げてリアル店舗を構え、さらに店舗網を広げてブランド認知を高める、といったことはかつて以上にリスクが高まりました。
ブランド認知を高めて一定のシェアを作っていくためには店舗数が必要ですが、そうなると新ブランドとして収益化していくためのハードルは上がります。
でも、ネット専用ブランドであればリアル店舗に要していたテナントとしての賃料や販売スタッフの人件費は不要で、固定のない身軽な存在です。
その分だけ新ブランドとして成立可能なハードルは下がり、様々なチャレンジがしやすくなります。
育てなければならないブランド規模、そこに達するまでの期限など、諸々を従来よりも緩やかに設計できます。
このような提供者側におけるリスクマネジメントの意味合いがひとつですね。
他方、マーケット側にもそこに向かう側面があります。
それは価値観の多様化が進み、ファッションでも個性化が今まで以上に強くなるなどクラスター化は顕著です。
そのためひとつのブランドでカバーできる顧客対象が従来よりも小さくなっています。
そうしたマーケットのニーズとブランド規模との兼ね合いを考えると、マーケット大きくカバーできるメガブランドを育てるというよりも、小さなブランドを複数ラインナップさせていく方向へ向かうのは妥当な流れです。
このあたりがマーケット側の要因だと言えるでしょうか。
提供者側、マーケット側双方に前述したような要因があるから、今後もこうした動きは広がっていく可能性は大ですね。
ただ、そうやってネット専用ブランドが林立していけば、今度はそのなかでどうユーザーの認知を得ていくのかが課題になってきます。
そうなったときにはアパレルの商品企画、マーケティングそのものが変化をしていくことになると思っています。
私なりにこうなっていくのかな、というイメージはありますが、果たして実際のところはどう進むのかを個人的には楽しみにしています。
by biz-365
| 2017-11-16 20:47
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