2017年 10月 04日
10月4日(水):「共同生産」と「働きがい」 |
このところはサービスにおける共同生産について書き連ねてきましたが、ひとまず本日で区切りにしようと思います。
対人サービスということでいえば、生産と消費の同時性によって提供者側と利用者側との相互作用としての共同生産がサービス内容に直接的な影響を及ぼします。
そのなかではコミュニティのサイズや性質といったものによって、共同生産の質は変わってきます。
これまでにも説明をしてきたようにコミュニティのサイズが小さく、その構成員が互いに個々を認知している状況下では、それぞれがコミュニティに対して責任ある行動をしてくれることや、献身の度合いは高くなるのが一般的です。
そういった点はそこで仕事をする働き手にとっての充足感とも関係をしてきます。
前述したようにお客さまがクラブのこと、コミュニティにおける共同善の維持や発展に対していつも肯定的で協力的であれば、そこで仕事をするトレーナーの気持ちは非常に安定したものになります。
一方で共同生産の質が低い状況では、お客さまが「損なわれた自分の権利、利益を声高に主張する」とか「自分の権利を最大化しようとする」、「何か不備があれば鬼の首をとったように声を荒げる」、などといったようなことが起きがちです。
コミュニティ全体の共同善というよりも、そこにあるのは自分の権利や利益が中心的になってきます。
こうした状況下で仕事をするトレーナーと、前者のような状況で働くトレーナーとでは、どちらが精神衛生上好ましいのかは言うまでもないことです。
当然ながらトレーナーも心をもった人間です。
前者のような状況に置かれているトレーナーのほうが、さらにお客さまのことが好きになり、お客さまへの貢献を高めたいと思うのが自然な流れでしょう。
そうなるとサービスは相互作用ですから、お客さまへの貢献を果たしたいと強く思うトレーナーと共同善を意識するお客さまの関係というのは相乗効果を生み出すことになります。
つまりは、その関係性やコミュニティといったものが健全に発展していく可能性が高いということです。
サービス業としてはお客さまの満足度を高めるのは当然のことですが、同時にそこで働くトレーナーの満足度に目を向けることは大切です。
サービス提供の場において直接的相互作用のなかで仕事をするわけだから、働き手であるトレーナーの満足がお客さまの満足を生むサービス・プロフィットチェーンがもっとも端的に表れてくるのがサービスの現場だといえます。
そうした諸々の意味合いを含めてもコミュニティのサイズや性質を考えていくことは大切だと思っています。
by biz-365
| 2017-10-04 22:55
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