2017年 08月 20日
8月20日(日):波に乗れない週休3日の必然 |
先般の日経産業新聞には「波に乗れない週休3日」と題した記事がありました。
内容としては人材確保や長時間労働の是正のために働く時間が短くなる制度を取り入れている企業が増えている一方、それが十分に機能しているとは言い難い状況を説明したものです。
同記事に掲載されていた例でいえば、日本ケンタッキー・フライドチキンでは時間短縮分は給与で調整する制度にしていて、店舗限定の社員は週休3日のほか、出勤日は5時間まで短くできる仕組みです。
その運用状況は約300店舗のなかで、この週休3日を活用している社員はわずか1名のみとなっています。
休みが増えるのは良いけど、その分だけ給与が減ってしまうのだったら、そこまでしなくても良いというのが大方の考えでしょう。
このあたりは現在の生活などもありますから、休みが少なくて困る度合いと収入が減ることで困る度合いでいけば、後者のほうが影響度は大きいのだと思います。
また別な例では介護施設を運営するウチヤマホールディングスでは週40時間の勤務時間は維持しながらなので、1日当たりの勤務時間を長くして代わりに週3日の休日とする時間で調整する形の仕組みですね。
こちらの会社では84ヶ所ある施設のなか、実際に運用がなされているのは3ヶ所に留まっているとのことです。
いずれにしても組織内で十分にそれが浸透、機能していない状態であることはよく分かります。
まず、ここでの問題は制度が現場と合っているのかどうかです。
私たちの運営クラブでは4勤3休(0.5を週のマネジメントと研修に充てているから、実質的には4.5勤2.5休)を運用し始めて、もうすぐ5年目を迎えます。
これを導入した背景はフィットネスクラブの現場では早番・遅番のシフトによって、もっともお客様の利用が少ないアイドルタイムに社員のシフトの重なりが多くなること、その一方でお客様の利用が多いピークタイムにアルバイトスタッフに依存しなければならない状況への問題意識からです。
またお客様への提供価値を考えても、ジムに立つのはすべて正社員のトレーナーにしたいとの考え、そしてトレーナー力の底上げのためには個人の頑張りに依存するのではなく、クラブとして仕組み化した中で継続的な学びの場を設ける必要性から、最適な形が何かを考えるなかで行き着いた形が前出した仕組みです。
だから「働き方改革」のようなお題目ありきではなく、あくまでも現場での運用やお客様への提供価値を引き上げる観点から制度設計をしていることが、十分に活用されていない企業との決定的な違いだと思います。
加えて補足として説明をしておくと、自社の小型クラブではこうした4勤3休の制度はとっておらず、従来通りの週休2日でクラブを運営しています。
なぜなら、小型クラブの場合はそのほうが運営効率は良いし、それを前提にしてクラブのレッスン、オペレーションなどの仕組みを制度設計しているからです。
だから4勤3休が進んでいる、あるいは優れていて、5勤2休が遅れているとかダメだなどということは全くないわけです。
要はどちらがその会社やお店の現場に合っているのか、どちらがお客様への提供価値を最大化できるのか、そういったことのほうがはるかに重要だと言えます。
そこの部分を置き去りにした制度設計や運用に関する議論をしても、これは空転するだけです。
大事なことは現場と経営の双方がわかり、それをつなげていくことだと思います。
by biz-365
| 2017-08-20 10:31
|
Comments(0)