2012年 01月 14日
1月14日(土):戦略商品を投じるなら主戦場で |
一昨日の日経新聞には吉野家ホールディングスが2011年3月~11月期の連結決算で経常利益が前年同期比7%増の34億円になったとの記事がありました。
この増益の主要因となっているのはグループ内にあるステーキの「どん」や、うどんチェーンの「はなまる」なども含めた食材や営業備品の共同仕入れなどのコスト削減策が寄与したものです。
吉野家の牛丼並盛価格は380円ですが、一連のコスト削減策で原価率が33.8%となって1.8%の改善ということですから、牛丼一杯あたりの粗利が7円弱増えたことになります。
2009年~2010年の前半頃は原価率が約40%の155円で一杯あたりの粗利は225円と言われていましたから、現在の原価率33.8%の128円で粗利252円は収益性が大きく改善した状態だと言えると思います。
ただ、その一部には直近の円高メリットも含まれていますから、そこには変動要素も含んでいるというのが客観的な見方でしょう。
今回の原価低減による増益は良いことですが、吉野家としてはいまだ大きな課題が残っているというのが現状だと思います。
牛丼御三家の中では牛丼並盛の価格が380円と最も高いのがこの「吉野家」で、業界トップのゼンショーホールディングスの「すき家」は同商品が280円と100円の価格差があります。
これまでは低価格路線を走る「すき家」や「松屋」に対して、価格を高めに設定している「吉野家」は売上の前年実績を下回る回数が前述した他社より多く、メディアでも「勝ち負けが鮮明」などと報じられてきた通りです。
この既存店売上をどのように伸ばしていくかが最大の課題で、この部分の改善なしに持続的な成長は描けないと言えるでしょう。
そんな吉野家は昨年末には競合の低価格路線とは一線を画す商品として380円の豚丼新商品を投入しています。
同社HP上では「300万食を突破」と報じれられていますし、一部のメディアでも豚丼が好調で客数増に寄与している、といったことが記されているので初期については一定の効果があったのだと思います。
ただ、それが持続的な客数増を維持できるのかは非常に疑わしいところがあると感じています。
というのも、前述した商品投入後に私は出張先の地方都市、首都圏郊外、首都圏ターミナルと異なる立地で3回ほど吉野家へ行きましたが、その際には何れの店舗でも先の豚丼を注文している人は10人に1人もいなかったからです。
新商品を投入すれば、初期においては一定の反響が得られますが、それがリピートにつながるかどうかは別の話です。
今後の持続的な客数増に寄与するほどの商品なら、もっと注文数が多くて良いはずですから、私の個人的な肌感覚ではこの商品がマーケットの継続的な支持を得ているとは思えませんでしたね。
ユーザーである私から見て、吉野家にとっての豚というのは言わば脇役のような存在という感覚は拭えません。
そういった素材を使った商品に戦略商品の位置付けを担わせること自体が、私にはポイントを外しているのではないかと感じますね。
やはり低価格路線の土俵と一線を画すための戦略商品ならば、自社にとっての中核部分で勝負をすべきではないかと考えています。
吉野家の場合は創業が1899年と今年で113年目を迎える歴史があって、これは他の牛丼チェーンにはない無形の経営資源です。
あくまでも牛丼で、しかも一定の価格で勝負をするならば、このような独自の経営資源も活用し、中核となる商品の主戦場で勝てる戦略商品を打ち出してほしいと思っています。
個人的には前述した歴史や素材へのこだわり、これまで連綿と積み上げてきたノウハウを結集し、「100年牛丼」と銘打った商品なんかを投入しても良いのではないかとイメージしています。
「100円の価格差は100年の歴史の差」、こんなキャッチで打ち出すのもアリかな、と。
やはり「牛丼なら吉野家だ」と言わせるような本当に旨い牛丼を作り、先のようなポイントで徹底的にプロモーションしていけば、人は呼べると思いますね。
なにせ100円差があるとは言え、牛丼一杯380円という事実だけを見れば、それが極端に高いものではありませんからね。
冒頭に記したように牛丼一杯あたりの粗利、コスト構造が「すき家」や「松屋」なんかとは違いますから、これらの企業の来客数と「吉野家」のそれを単純比較で優劣を論じる必要はありませんが、自社の前年実績を上回るところまでは持っていけるのではないかと考えます。
そんなわけで、ぜひ吉野家にとっての主戦場で戦略商品を投じて、勝負を仕掛けてほしいと思います。
この増益の主要因となっているのはグループ内にあるステーキの「どん」や、うどんチェーンの「はなまる」なども含めた食材や営業備品の共同仕入れなどのコスト削減策が寄与したものです。
吉野家の牛丼並盛価格は380円ですが、一連のコスト削減策で原価率が33.8%となって1.8%の改善ということですから、牛丼一杯あたりの粗利が7円弱増えたことになります。
2009年~2010年の前半頃は原価率が約40%の155円で一杯あたりの粗利は225円と言われていましたから、現在の原価率33.8%の128円で粗利252円は収益性が大きく改善した状態だと言えると思います。
ただ、その一部には直近の円高メリットも含まれていますから、そこには変動要素も含んでいるというのが客観的な見方でしょう。
今回の原価低減による増益は良いことですが、吉野家としてはいまだ大きな課題が残っているというのが現状だと思います。
牛丼御三家の中では牛丼並盛の価格が380円と最も高いのがこの「吉野家」で、業界トップのゼンショーホールディングスの「すき家」は同商品が280円と100円の価格差があります。
これまでは低価格路線を走る「すき家」や「松屋」に対して、価格を高めに設定している「吉野家」は売上の前年実績を下回る回数が前述した他社より多く、メディアでも「勝ち負けが鮮明」などと報じられてきた通りです。
この既存店売上をどのように伸ばしていくかが最大の課題で、この部分の改善なしに持続的な成長は描けないと言えるでしょう。
そんな吉野家は昨年末には競合の低価格路線とは一線を画す商品として380円の豚丼新商品を投入しています。
同社HP上では「300万食を突破」と報じれられていますし、一部のメディアでも豚丼が好調で客数増に寄与している、といったことが記されているので初期については一定の効果があったのだと思います。
ただ、それが持続的な客数増を維持できるのかは非常に疑わしいところがあると感じています。
というのも、前述した商品投入後に私は出張先の地方都市、首都圏郊外、首都圏ターミナルと異なる立地で3回ほど吉野家へ行きましたが、その際には何れの店舗でも先の豚丼を注文している人は10人に1人もいなかったからです。
新商品を投入すれば、初期においては一定の反響が得られますが、それがリピートにつながるかどうかは別の話です。
今後の持続的な客数増に寄与するほどの商品なら、もっと注文数が多くて良いはずですから、私の個人的な肌感覚ではこの商品がマーケットの継続的な支持を得ているとは思えませんでしたね。
ユーザーである私から見て、吉野家にとっての豚というのは言わば脇役のような存在という感覚は拭えません。
そういった素材を使った商品に戦略商品の位置付けを担わせること自体が、私にはポイントを外しているのではないかと感じますね。
やはり低価格路線の土俵と一線を画すための戦略商品ならば、自社にとっての中核部分で勝負をすべきではないかと考えています。
吉野家の場合は創業が1899年と今年で113年目を迎える歴史があって、これは他の牛丼チェーンにはない無形の経営資源です。
あくまでも牛丼で、しかも一定の価格で勝負をするならば、このような独自の経営資源も活用し、中核となる商品の主戦場で勝てる戦略商品を打ち出してほしいと思っています。
個人的には前述した歴史や素材へのこだわり、これまで連綿と積み上げてきたノウハウを結集し、「100年牛丼」と銘打った商品なんかを投入しても良いのではないかとイメージしています。
「100円の価格差は100年の歴史の差」、こんなキャッチで打ち出すのもアリかな、と。
やはり「牛丼なら吉野家だ」と言わせるような本当に旨い牛丼を作り、先のようなポイントで徹底的にプロモーションしていけば、人は呼べると思いますね。
なにせ100円差があるとは言え、牛丼一杯380円という事実だけを見れば、それが極端に高いものではありませんからね。
冒頭に記したように牛丼一杯あたりの粗利、コスト構造が「すき家」や「松屋」なんかとは違いますから、これらの企業の来客数と「吉野家」のそれを単純比較で優劣を論じる必要はありませんが、自社の前年実績を上回るところまでは持っていけるのではないかと考えます。
そんなわけで、ぜひ吉野家にとっての主戦場で戦略商品を投じて、勝負を仕掛けてほしいと思います。
by biz-365
| 2012-01-14 22:08
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