2020年 02月 14日
2月14日(金):「ロストフの14秒」を振り返って |
先般には以前から読もうと思っていた「ロストフの14秒」に目を通しました。
こちらはサッカーのW杯、2018年のロシア大会における日本対ベルギー戦、その試合終了間際に日本を敗北に追い込んだ失点シーン、そこにフォーカスした内容です。
日本としては優勝候補でもあるベルギーに一時2対0のリードをするも、その後は2対2に追いつかれ後半アディショナルタイムのコーナーキックでゴールを狙いに行くも、逆に見事というほかない高速カウンターによって2対3と逆転を許しました。
そのカウンターのあまりの速さ、流れるような美しさ、そして試合そのものの劇的な幕切れ、とにかく何もかもが衝撃的だったのをよく覚えています。
これら一連のシーンが「ロストフ14秒」と呼ばれ、NHK取材班がNHKスペシャルの番組用に取材をして、その放送内容に補足などを含めて加筆されたものが先の書籍です。
こちらの書籍を読んでの率直な感想は非常に意義深い内容だと思うし、あの14秒のためによくぞここまで取材を重ねてくれたな、と感じます。
同書には日本代表選手はもちろんですが、相手のベルギー代表選手、そしてベルギー代表の監督、そのほかかつて日本代表を率いて日本の選手や文化的な背景も含めて理解がある監督たち、そしてサッカー界の重鎮・有識者にもインタビューを重ねています。
取材班としては、この14秒を今後の日本サッカーにおける教訓として後世につなげていくには、との想いで取材をしながらこれらをまとめた旨の記載もありましたが、それに足るだけの内容だと思いますね。
前述したように日本選手のみならず相手チームの選手や監督、そして客観的立場にある有識者の見解、そういった多面的な証言によって、あの14秒の在りようが明確に浮かび上がってきます。
おそらく、この企画がなければ先のシーンに対してここまで掘り下げて、そして整理をされることもなかったのではないかと感じます。
実際にこの取材に応じた日本選手にしても、直後などは悔しさなどが先行してしまい、振り返って直視をするのが難しかったこと、冷静に捉えることができなかった点に言及していました。
そんなこともあってW杯から1年以上が経過をした2019年の夏あたりから取材などが進められたと言います。
試合から1年以上が経過した段階から、その試合のワンシーンである14秒のために振り返りや検証を始めるというは、そうそうないことでそれだけ特異的ではあるでしょう。
内容でいえば日本の選手が当時を回想したり、試合の映像を見ながらその時々の状況判断、プレーの選択について考えていたことを読めば、長らくサッカーをしていた私としては極めて理解ができるものです。
それぞれのシーン、その状況におけるセオリーに則っていたし、その瞬間における妥当なプレーの選択をしたのは確かでしょう。
そうしたなか、本当に驚かされたのはベルギーの選手が考えていたこと、見えていたことの質の高さですね。
あのわずかな時間、瞬間のなかでそれぞれが状況を的確に把握して、日本選手が考えている以上の想定をしていたし、その判断を的確に実行するだけのフィジカルとスキルも備わっていました。
また、試合時間の90分を超えた段階、そして緊迫した試合で重圧も掛かるなか、極めて冷静にそれをやってのける思考のクリアさ、そしてメンタルの強さには敬服するしかありません。
改めて世界のトップとの差がどこにあるのか、そんなことも分かりました。
本当に有難いと思ったのはベルギーの選手たちがこうした取材に応じて、その時の状況を丁寧に語ってくれたことです。
それによって彼等のアタマのなかに描かれていたもの、考えていたことが分かり、その違いを知ることができたのは大きいでしょう。
1つひとつのプレーの裏側にあること、こればっかりは普通だと傍目には想像する以外にないですからね。
わずか14秒の出来事ですが、それをこうして丹念に紐解いていくことで初めて見えてくるものがたくさんあって、そういったアプローチの有用さも個人的に理解ができて良かったと思います。
※健康習慣クラブALIVE、業容拡大につき社員トレーナー募集中です。
by biz-365
| 2020-02-14 18:00
|
Comments(0)