2017年 09月 19日
9月19日(火):いまリユース市場が拡大する理由 |
先般の日経MJにはリユース市場における古着の領域で市場が拡大している旨が記載をされていました。
直近の3年で市場規模が4割増ということなので、拡大のスピード感は相当に早いと言えます。
関連各社がシェアを広げようと躍起になるのもこれは当然ですね。
そんなリユース市場が拡大する要因は複数ありますが、私が考えるのは以下のような点ですね。
まず1つ目は以前からもこのブログで取り上げていますが、ファストファッションに代表されるように流行サイクルの短縮化が起きている点です。
流行サイクルが短縮化されると、そのアイテムを使用するのは1年、もっといえばワンシーズンということになってきます。
トレンドを反映した商品はそれ以降のシーズンで使用をしていれば「古い」「遅れている」といった感覚をもって周囲から捉えられがちです。
そうなったときに失われてしまうのは、その商品に対する情緒的な価値(ここでいえばトレンドという価値)ですが、ワンシーズンしか使用していない商品なら、よほど乱雑に扱わない限りは十分にまだ着ることができる状態です。
つまり衣類であれば、「着る」という機能的価値は十分に残存しています。
こうした商品としての機能的価値を保った品質の良い商品がリユース市場に出てくることで、商品価値のある市場として担保されやすくなってことです。
続く2点目は嗜好の細分化ですね。
価値観が多様化し、ファッションなどの好みも細分化が進んでいるのが現在の状況です。
それゆえ、誰かにとって情緒的価値が棄損したものであっても、別な誰かにとっては価値あり、となるケースが存在します。
この点が画一的な価値観、マスによる消費スタイルであった時代との大きな違いではあるでしょう。
そして3つ目はリユース市場におけるプラットフォームの普及、拡大でしょう。
「CtoC」のプラットフォームが広がったことで、今では誰もが簡単に売り手になれます。
アカウントさえもっていれば、スマホで写真を撮ってアップするだけですからね。
加えてネットのプラットフォームになったことで買い手にとっての検索性が高まった利点が限りなく大きいと言えます。
従来のリユース市場ならリアルの店舗にいって、自分の欲しいものが見つかればラッキーという偶然性が高かったものです。
それが掘り出し物の一品に出会えたというある種の楽しさでもあったわけですが、一方では欲しいものがいつ店舗に入るかは分からないし、需給の一致が難しかった側面は否めません。
現在はリユース市場のプラットフォームの拡充で欲しいものを探して見つけられる場になっていることは、売り手と買い手が結びつきやすい状態になりました。
この需給が一致しやすい状態にあるほうが市場として活性化するのは間違いないですね。
4つ目はシェアの概念の浸透です。
ここは世代間で認識のギャップがあるところですが、若年層においてはシェアの概念が広がっているし、それがある程度肯定的なものとして広がったことです。
それにより以前に誰かが使っていた、ということに対する抵抗感が薄れている面はあるでしょう。
実際にリユース市場を牽引しているのは若年層ユーザーですからね。
そして最後は昨今の経済状況、伸び悩む所得です。
過去の歴史を振り返ってみてもリユース市場、つまり古物商が広がる時期というのは不況期でした。
現在は若年層の所得水準は高度成長期やバブル期とは違ったものになっているのは周知の通りです。
そうして所得が伸び悩むなかでもファッションを楽しむためのひとつの知恵がリユース市場の活用でもあると言えます。
ここでは5点を挙げましたが、現在のリユース市場の急拡大はそういった諸々の要因によるものだと私なりに捉えています。
by biz-365
| 2017-09-19 22:09
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